くるくるノボリ虫くん
小さな紙に描いたノボリ虫くんが、くるくる回りながら筒を上っていく。このノボリ虫くんがうまく回転しながら、筒を上るために、磁石の形、強さ、極などの性質をどのように使うとよいかを子どもが工夫していく。
1 学習活動との関係
何の仕掛けもないのに、ノボリ虫くんが筒にピタッと吸い付き、くるくる回りながら上っていく姿はとても不思議である。中が見えない筒を使って事象提示し、興味がわいたところで、今度は透明な筒を使って、制作活動にはいると子ども達の意欲は大変高まる。
ここでは、今まであまり見たことのない形の磁石があることや磁石には引きつけあったり、反発しあったりする性質があること、などに気がついていく。
2 事象提示用のくるくるノボリ虫くんの作り方
【準備するもの】
・ 縦型雨どい135o ¢45mm 肉厚1oホームセンターなどで手に入る。
・ 筒のふた(ゴム栓16号)2個
・ 円筒形ポリフォーム(¢41mm,高さ50mm)塊を円筒形に切っても よい。
・ ピップエレキバンA1300ガウス, 1500ガウスのXでもよいが多少値段が 高い。
・ 1000ガウスで直径が8mm程度の磁石
(左1000ガウスの磁石)1箱で6個入り (右ピップエレキバンA)1箱で24個入り
【浮きの作り方】
@ 直径41o高さ50oの円筒形ポリフォームまたは、塊を同様の規格
で円筒形に切る。
A 中心付近を釘で穴をあける。
B スチロールカッターの電熱線をはずし,開けた穴に通す。
C 直径10o程度の穴をあける。
※ 直径を大きくすると浮きが速くあがるが、速すぎると外の磁石が はずれてしまう。
磁力と浮き上がる速さのバランスをうまくすることがコツである。
C 浮きの側面にセロハンテープで磁石を貼る。セロハンテープは
磁石の部分だけでなく、浮きを一周するように貼る。
※ 磁石は1つだけでなく、複数貼ってもおもしろい。
【パイプの作り方】
@ 雨どいの一方に16号のゴム栓をはめる。
A 布製のガムテープで水漏れが起きないように
巻く。この時、ゴム栓にかなりの重さがかかる
ので、ガムテープは縦横両方に巻くようにする。
B 水と浮きを入れた後、もう一方にもゴム栓を
はめ、同じようにきつくガムテープを巻く。
【ノボリ虫の作り方】
@ 直径2cmほどの大きさで画用紙を切る。
A 表には好きな絵を描いておく。
B 画用紙の裏側に両面テープを貼る。
C ピップエレキバンが浮きに貼ってある磁石と引きつけあうようにして両面テー プに張り付ける。(極性を間違えないよ うにする。)
【提示の仕方】
@ 筒の一方を少しだけ上にして、見た目には水平になるように置く。
A 筒には仕掛けがないことを確認して、ノボリ虫くんを「浮き」があると思われるあた りに置く。
( 上のゴム栓の少し下にある。)
B 適当に動かすとピタッと吸い付くところがあるので、付いたら手を離す。
C ノボリ虫くんが下になるようにして、ゆっくりと筒を立てる。
D ノボリ虫くんがくるくる回転しながら筒を上に上がっていく。
E 上まで行ったら筒の上下を反対にすると何度でも遊ぶことができる。
3 子ども用くるくるノボリ虫くんの作り方
子ども用では、次の4点を大切にしたい。
@ 材料は子どもにも馴染みのあるものを使う。
(材料が安価で手に入りやすい。)
A 道具は図工で学習した程度のものとする。
(学習内容が生きるようにする。)
B 仕組みがよく見える。(遊びながら工夫する観点に気づきやすい。)
C 確実に現象が現れる。(すべての子どもが成就感を味わう。)
【準備するもの】
・ 空気と水の学習で使う透明の筒とポリスチレンの玉2つ
(写真では3つあるが2つでよい。)
・ ポリフォーム
直径:筒の内径よりも2mm小さいもの高さ:30mm程度 提示用よりも一回り小さくなる。
・ ピップエレキバンA1300ガウス
ノボリ虫と浮きと両方に使う。
提示用と違って別の磁石はいらない。
【浮きの作り方】
提示用と作り方は同じだが,大きさに気をつける。
筒の内径より2mmほど直径を小さくする。
2つの磁石の力が強いので、浮きが止まってしまうことがある。その時は、浮きの長さを少し長くするか、磁石を浮きに深く埋め込むとよい。
【パイプの作り方】
空気鉄砲の玉をゴム栓の代わりに使う。この場合、水の量が少ないのでテープなどで固定する必要はなく、ただ押し込めばよい。
4 留意点
中の仕組みが見えるか見えないかで子どもの興 味はずいぶん変わってくる。まず、仕組みが見えないもので疑問や興味を持たせ、仕組みが見えるもので制作意欲を高めていくことが大切である。
意欲を高めることによって、よく回り、速く上る仕組みを作ろうと工夫するようになり、磁石の様々な性質に気づいていくことができる。